顕微鏡歯科が地方では広まらない理由 続き②

まったくの私見ではあるが、顕微鏡歯科が広まらない理由 6/8投稿の記事

旧制度崩壊により顕微鏡歯科が広がっていくかもしれない可能性 7/5投稿の記事

を書いてみた。実際、数ヶ月後?いや数年後にくると予想される経済的な第二の敗戦により、国民皆保険制度や年金制度など旧態依然とした制度や慣習を現状のまま維持することは難しくなってくるだろう。

続き①で書いたように、保険から補綴行為が外れると困る国民は急増するが、国民が天然歯の大切さや価値観に気づき、お口の健康を保つためには厳しい自己管理が求められること、それに予防歯科や顕微鏡歯科治療の大切さに気づくまでにはしばらく時間がかかると思う。混乱期が数年から10年ぐらい続き、落ち着く所に落ち着くと思うが、その間、真に人の役にたてるような歯科医療に変貌するために必要と思う事を書いてみたい。

補綴が保険適応でなくなるとすべて自費診療になるわけだから、今までと同じ保険使用の補綴物を提供しようとしても、全額自己負担の値段で提供せざるえなくなる。患者さんとしては、今まで3割分だけ窓口で払えばよかったものが、10割分払わなければならなくなるので、簡単には補綴が出来なくなり、歯抜けのままという人も大勢でてくるはずである。

歯医者さん間では競争が起こり、補綴の値段を落とすもの、いろんな付加価値をつけて値段を据え置くもの、保険使用の補綴は取り扱わないもの、補綴はやめるもの etc  いろんな競争が起きてくると予測される。しかし、国民は歯科医療費の高騰に不満を持つはずだ。「どうにか安く歯を入れられんのか?」と。

ここで、補綴の入れ歯という行為を考えてみたい。入れ歯は歯がない所に歯を作るひとつの方法だが、今はほとんどの歯医者さんが型取りから噛み合わせをとることまでやって、製作はすべて技工士さんが行っている。入れ歯作りという行為の8割がたは技工士さんが行っているのだ。

入れ歯作りにおいてうがった見かたをすれば、患者さんから見ると歯医者さんは中抜き業者みたいなもので、技工士さんからみるとピンハネする人である。補綴が保険から外れ国民の不満が高まってくると出来る技工士さんは思うはずだ、「俺が印象とバイトさえとれれば、もっと安く良い入れ歯を作ってやれるのに、、、」

現在の技工士法では技工士さんが患者さんの口の中を触るのは違法行為であるが、法を改正して印象やバイト、はたまた支台歯形成までやれるようにすれば、安く補綴を提供することは可能になる。(歯医者さんという中抜き業者がいなくなるので。)僕は補綴物を作る人が印象やバイト、形成までやってしまうのが一番理にかなっていると思う。実際、昔の歯医者さん(うちのじいちゃんなど。戦前に九州歯科医専を卒業した歯医者さん。)とかは診療室の仕事はほぼ仕込み、補綴物作製がメインという仕事をしていたと聞いたことがある。「昔 ゴム床作ってたら、フラスコが爆発した。忠克 ゴム床って知ってるか?」とかなんとか言ってたような記憶がある。

技工士さんの業務拡大を認めると、歯医者さんはますます食いっぱぐれるので既得権益である歯科医側から反対の大合唱が起こるだろう。しかし、良く考えてほしい。義歯の印象やバイトはコツがいるものだし、欠損歯列の見方も経験がいるものだが、技工士さんも集中的に修練と経験を積めば早く理解できるし、印象やバイトもうまく出来るのではないか?それに、支台歯形成でも練習をすればちゃんと出来るのではないか?と、まさか「大卒でなければ出来ない。」とか「技工士がやると事故を起こす。」などとトチ狂ったことを言い出す歯医者はいないと思うが、補綴が保険から外れるなら、技工士法も改正して補綴行為は歯医者さんも出来るし、技工士さんも出来るようにした方が選択肢も増え、国民も納得するのではないかと思っている。

この時こそ歯医者さんは補綴行為をメインにするのではなく、虫歯や歯周病の予防や治療、歯内療法などに精を出して欠損補綴を少なくしていくという風に仕事を転換していったほうが、国民のためになるし、尊敬も受けるのではないだろうか?そして、こういう状況でこそ顕微鏡歯科の価値が出てくるのではないだろうか?

(ちなみに、入れ歯を歯科医でなくても作れる制度はデンチュリズムといって、世界中の一部の国やアメリカの一部の州では現在認められている行為なのです。)

最後に応援よろしくお願いします。

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